SEIKA HIGH SCHOOL

お知らせ

お知らせ

2017.05.23

学校長入学式式辞

5月23日(火)より前期第1回定期考査が始まりました。特に大きな問題もなく初日を終えることができました。試験中ということもあり、大きなニュースもありません。また、GWも終わり、新入生も学校生活に慣れてきて、学校全体も少し落ち着いてきましたので、この機会に、今年度の入学式での学校長式辞を紹介したいと思います。
学校長式辞(要約)
 春の訪れと共に、花の香りが辺りに満ちています。美しく咲く桜は、皆さんの新しい門出を祝っているかのようです。皆さんのご入学を、心から歓迎致します。
   (中略)
 この三年間は皆さんの人格形成において、とても大切な時期になります。高校の三年間は、人生の中において特別な時期です。充実した毎日を、過ごして下さい。まずは日々の授業を大切にして下さい。授業をしっかり聞く、これが基本です。その上で、部活動に打ち込む、希望の進路を実現するため勉強を重ねる、趣味に没頭する。三年後には驚くほど成長した自分に出会えることでしょう。
   (中略) 
激動する世界の中で、人類が抱える大きな問題は、次の三点に集約されます。
 1 テロを含む戦争
 2 環境問題
 3 経済格差の問題
 シリアやウクライナでは、戦争が継続しています。テロの恐怖は世界各地にあります。世界の先進国と言われる国々の資本主義経済は、放っておけば、必ず経済的格差と対立に帰結します。1970年代以降、アメリカの経済格差は拡大し、有権者の多くが政治に裏切られ、無視され、とり残されたと感じるようになったことが、今回の大統領誕生につながったとも言われています。日本においても経済格差は拡大し、子供たちの貧困が社会問題となっています。日本も世界も多くの問題を抱えているのです。みなさんも世界や日本の動きに関心を持って下さい。
 今は亡き作家の司馬遼太郎は、「二十一世紀に生きる君たちへ」の中で、こんな風に述べています。「君たちはいつの時代でもそうであったように、自己を確立せねばならない」「自分に厳しく相手にはやさしくという自己を」「人間は社会を作って生きている。社会とは支え合う仕組みということである」「助け合うという気持ちや行動のもとのもとはいたわりという感情である」「他人の痛みを感じることと言ってもいい。やさしさと言いかえてもいい」
 「鎌倉時代の武士たちはたのもしさということを大切にしてきた。人間は、いつの時代でもたのもしい人格を持たねばならない。人間というのは、男女とも、たのもしくない人格に魅力を感じないのである」
 本校の教育目標に「自立」とありますが、ここで司馬遼太郎の言う「自己を確立すること」イコール「たのもしい人格をもつ」こと、それがすなわち「自立」です。
 本校のもう一つの教育目標は「協調」です。日本の社会において何よりも重きを置かれているのが「和」の精神です。日本人は「和」つまり「協調」の精神を大切にする精神風土を持っています。我々は遠い昔から、この列島で互いの違いを認め合いながら、協力して社会を営んできたのです。
 大震災の折に世界から賞賛された日本人のモラルの高さ、我慢強い心、礼儀正しさはこの「和」の精神から来ているのでしょう。
 三つ目の「創造」は、新しい価値を創り出すことです。音楽や絵画など芸術における「創造」が一番イメージしやすいでしょう。
 近い将来、人間の代わりに働く人工知能(いわゆるAI)が急速に増加すると予想されます。今後10~20年間で、日本の労働人口の約49%が、AIやロボットで代替可能になるという衝撃的な研究結果もあります。一般事務員、銀行窓口、警備員、建設作業員、タクシー運転手、電車運転士、スーパーのレジ係など。自動車の自動運転の実現も、実用化の段階です。しかし、高いコミュニケーション能力や抽象的な思考が必要な仕事は引き続き人間が担うと考えられます。「AIに任せられる仕事は任せ、人間は創造的な仕事に集中するなど、働き方を変えていかざるを得ない」とも言われています。皆さんにも「創造」的な能力が必要とされる時代が、すぐそこまで来ていると言うことです。
 最後に、若い皆さんの可能性は無限です。大きな夢を抱いて下さい。そして、その夢に向かって着実に歩みを進めて下さい。若い皆さんには多くの時間があるのですから。精華高校で過ごされる青春の日々が、夢に満ちた実り多き日々になりますよう願ってやみません。
  (後略)

       平成29年4月7日   
                               精華高等学校長 正川昌彦